夢中でシャッターを切った43分間。高松宮賜杯(2部)佐賀県大会 2回戦 2024.4.28

夢中でシャッターを切った43分間。高松宮賜杯(2部)佐賀県大会 2回戦 2024.4.28

1ヶ月半前の3月17日、井手解体実業野球部の初陣を見届けるはずが雨天中止。
悲しみに暮れて千葉に帰ったけれど、こんなにすぐ試合を見られるチャンスが来るとは思っていませんでした。

背中を押してくれた、新天地での挑戦 〜再び頂点を目指して〜
「初陣は絶対観に行くから」 約束していた日がついにやって来ました。高松宮賜杯(2部)佐賀市予選。 2024年度から佐賀県軟式野球連盟に所属した、井手解体実業。新…
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佐賀市の予選を優勝し、4月27日の県大会初戦も4−1で勝利。
私は19日から高校野球の仕事で佐賀にいて、その素敵な巡り合わせに感謝しました。
雨で順延があったものの高校野球は27日に無事終了。
帰る日を延ばし、待ちに待った試合を迎えました。

高松宮賜杯(2部)佐賀県大会
2回戦 井手解体実業 9−0 有田クラブ(5回コールド・7回制)

念願の試合は43分であっという間に終わりました。

7回制に慣れておらずコールド規定が頭に入ってなくて、夢中でシャッターを切っていたら終わってました。体感30分くらいでしたが、あながち間違いではなかった……。

守備の時間はめちゃくちゃ短いし、攻撃は初球からどんどん行くし、ガンガン走るし、そのスピード感に全然ついていけず(笑)
野球を撮り始めて24年になりますが、仕事を含めても私史上最短試合。
待ちに待った試合だったけれど、かみしめて味わっている暇は全くありませんでした。

だけど、とても幸せな43分間でした。

スタイルよし、フルスイングに俊足!キラキラしてた木岡選手

1番ショート、キャプテンの木岡大地選手。
ものすごく華があります!
前チーム(大阪シティ信用金庫)のときも見てますが、そのときは相手が千葉のチーム(AKIRA)だったからあまり覚えてなくて……ごめんなさい。

1打席目は確か初球ヒット。二盗、三盗を鮮やかに決め、2打席目はあわやホームランの大飛球。
「打った瞬間上がり過ぎたと思った」と話してくれましたが、全ての打席で私はフルスイングに魅了されてしまいました。あの細い体であんなに振れるのすごい!って。

「センター以外守ったことない」木岡選手がショートをやっているのは「チームで一番うまいから」と古川監督が言ってました。
だけど、先発した古川監督が三振取りまくってて打球が全然飛ばないので、ショートの守備機会はフライ1つだけ。フィールディング見たかったな。シートノックもなかったから、これは次の楽しみにします!

3月に初めてお会いして話したとき、控えめな感じの選手なのかな?と思いましたが、そのときの印象とは全然違くて、とっても気さくでニコニコしてて、球場で一番最初に私に気がついて挨拶してくれたのが木岡選手でした。覚えてくれてた(泣)ってうれしかったです。ありがとうございます。

すでに社会人軟式球界では言わずと知れた選手だと思いますが(天皇賜杯でホームランも打ってるし)、見た人みんなファンになるんじゃないかってくらい素敵な選手です。

7年ぶりの現役復帰。鶴田選手の圧倒的なパフォーマンス

ボールがミットに吸い付いて、ビタッと気持ちよく止まるキャッチングに豪快な3ラン。
大学の野球部でコーチをされていた鶴田都貴選手がこのチームに来てコーチ兼任で現役復帰しました。

まずキャッチングの安定感、安心感が半端ないです。惚れ惚れしました。
私は鶴田選手が7年前に現役だったとき(愛媛マンダリンパイレーツに在籍)を見ていますが、そのときと何も変わってなくて感動してしまいました。オレンジのユニフォームが重なって見えた……。
当時キャプテンをしていたし、すごく男気を感じる選手で、とにかく頼もしかったんです。

7年ぶりにその姿が見れるんだ……と、試合始まる前のアップの時から鳥肌が立ってました。
3ランまで打ってくれるとは驚きで「あれは想定外」だったみたいですが、両翼98mの鹿島市民球場の左翼席に完璧に入れましたから。ブランクあるのにすごすぎませんか。

今年34歳。コーチ兼任ですが、また鶴田選手のプレーが見れたことが本当にうれしいし、まだまだ活躍して欲しいです!

高卒1年目とは思えない、落ち着きと打撃センスを感じた冨田選手

初回は落ち着いて四球を選び、2打席目、3打席目はヒット。走っては3盗塁。
2番センターの冨田伊吹選手は高卒1年目と聞いて驚きました。

打席で落ち着いてるし、無理のない自然体なスイングも好印象で「いい選手だなー」って素直に思いました。そして初々しさを感じる、ベンチからの印象的な声かけがありました。

どの出塁のときだったか忘れましたが、なかなか(盗塁の)スタートを切ることができなくて(おそらくいつでも行っていいサインが出てた)ベンチから「いぶきー!いつまでそこにいるんだー!チャレンジせえー!」って。

高卒1年目だけど、冨田選手は体型を見るに高校時代もしっかり練習を積んでいたのだと思います。チーム事情的にも即戦力だし(選手11人だから)、期待も込めての愛あるヤジだなーと、とてもほほえましかったです。

チームを勢いづかせる、堤選手の大きな声

ベンチで、三塁コーチャーで、めちゃくちゃ声出ししてた背番号15の堤庸輔選手。

堤選手、井手解体の中学野球部のマネージャーをされているそうです。助っ人として社会人チームの方へ来れるときは来てくれてるとのこと。そういえば、3月に試合が中止になって集合写真を撮らせてもらったとき、声出ししてくれたの堤選手でした!あの声でみんなの表情がほぐれたので、本当に感謝しています。

この日も試合中ずっと盛り上げてくれてました!やっぱり声って大事ですよね。天皇賜杯を獲るチームで静かなチームって見たことないですし。井手解体さんがめちゃくちゃ元気だから、相手チームもつられて?結構声出てましたもの。

助っ人と知りながら私もつい「試合のときはいつも来てください」ってお願いしてしまいました(笑)ですが「僕が来れるときは中学の方が負けちゃったときなんで……複雑です」と。そうですよね。でも堤選手がいるといないのとでは全然雰囲気違うらしいので、とっても強力な助っ人であり、貴重な戦力です!!

先発マウンドに背番号30。見慣れない光景にも古川監督の変わらない姿があった

井手解体実業は2024年度から加盟したチームですが、野球部を立ち上げるために2023年、千葉のチームを離れて佐賀へ移り、ひとり新たな挑戦を始めた古川敬也監督。

昨年1年はチームを形にするために選手を集めたり、たくさんの慣れないことや苦労があったと聞きました。選手11人。先を明確に目指すには気の遠くなりそうな状況でも「天皇賜杯を獲るにふさわしいチームを作りたい」と覚悟を決めて挑む姿に、私は心を打たれています。

古川監督のプレーは結構長く見てきましたが(最初に見たのは2016年で、AKIRAにいた3年間はほとんどの試合を見てるはず)、ピッチャーをやるのは初めて見ました。

イニングを重ねても、マウンドにいるのが不思議で仕方なくて……でも野手が投げてるって感じはなくて、普通にピッチャーでした。
どんどんストライク先行で行くし、テンポも早いからすぐ終わってしまう。抑えても表情ひとつ変えない。淡々と投げるスタイルなんだというのも初めて知りました。

初回2死から唯一出した安打の走者も牽制で刺して、以降はひとりの走者も出しませんでした。
本格的に投手やるのは小学生以来(AKIRAのときも市民大会では投げてた)らしいのですが、なんでもできるんだなって。素晴らしかったです。

打席ではいつもの姿で、違うのは背番号が30なことと、サインを出してること。
やはり野手としての姿がしっくりくるし、打席で独特な雰囲気があるんです。あの空気感がすごく好きなんですよね。

初回、1死三塁での叩きは相変わらず抜群にうまかったし(叩きのサインではなかったみたいですが)、足も速いし(2打席目は内野安打)。

1年半ぶりにプレーする姿を見て、ただただかっこいいってだけ(語彙力なくてすみません)。やっと見れたって。表情変えないし淡々と見えるんだけど、なんだろうな、うまく言えないんだけど気持ちが強いんです。熱いというか強いって感じ。そこにめちゃくちゃ惹かれるし、本当にどこを切り取っても絵になる。

監督をしていると、自分の練習にあまり時間が取れないそうです。ノック打ったりバッティングピッチャーしたり、チームのために動くことが増える。その中で自身のパフォーマンスを維持していくことは簡単なことではないけれど、私は古川監督に選手としてまた大きな舞台(天皇賜杯)に戻ってきて欲しいんです。どうかケガだけは気をつけて、長く選手やってくれたらいいなと思っています。

あっという間に試合が終わってしまった分、試合後に試合時間より長く話せたんじゃないかってくらい話をすることができました(笑)

さらに「誰か話聞きますか?」って言ってくれたんですが、試合が早すぎて私の頭の中の処理が全然追いついておらず「……いや、聞ける状態じゃないから大丈夫(笑)」って聞かないで帰るつもりでした。
だけど、近くを選手が通り過ぎれば呼び止めて、私に紹介してくれたので、いろんなエピソードを聞くことができました。本当にいつもありがとう。

古川監督と話してて印象的だったのは、試合中ずっとポーカーフェイスだったのに、話してる時はずっとニコニコしてたんですよね。もちろん勝ってホッとしたというのもあると思いますけど、千葉にいたときより笑顔が多くなった気がする……いや、気がするんじゃなくて確実に増えてる!と。
それだけ今、充実したいい時間を過ごしているんだろうなって思えたら、遠くに行ってしまって寂しいって気持ちは私の中からすっかり消えていました。

このチームが駆け上がっていくところを見届けたい

ずっとこの日が来るのを待ち侘びてました。

佐賀に行ってしまったら私はプレーを見ることができるんだろうかって思うときもありました。私が行けば良いだけの話だけど、気軽に行ける距離じゃないし、いつ試合があるのかとかわからないし、仕事との予定が合わないかもしれないし。実際3月に行ったときは雨で試合が中止に。

でも無事見れました。ありがとうございます。3月のリベンジを果たせて感無量で私は「今日試合見れてもう思い残すことは何もない」って言ったら、古川監督は「まだまだこれからですよ!」って笑ってました。

そうだった。まだ始まったばかりのチームだった。

千葉にいたときみたいに毎試合は見れないけど、天皇賜杯を目指すところまでの長い道のり、ずっと応援していくって決めたんだからきっとチャンスはたくさんある。

この日、井手解体さん側のスタンドにはご家族とか会社の方?とか見に来られてる方が多くいました。古川監督が話してくれた「多くの人に応援されるチーム」に、なれる資質は十分あるみなさんです!
そしていきなりでっかいカメラ持って現れた見ず知らずの私にも選手のご家族が話しかけてくださったり、周りの方々もとても温かくて、素敵なチームだなと感じました。

試合があっという間に終わってしまったからこそまた撮りたいって思ったし、勝ち進んでもっとレベルの高い相手としびれる試合をするみなさんを見たいと欲が出ました。みなさんとてもいい表情されてたし、撮ってて楽しかったです!

だけど、ほとんどの選手が初見で、私にとっても初めての球場で、撮影に関しては不完全燃焼です。もっといろいろ撮りたかったけど、これが精一杯でした。だから必ず近いうちにまた撮りたいです。

県大会を優勝すると、7月に鹿児島で九州大会があります。
5月4日の準決勝、決勝は行くことができず、私のスケジュール的に次行けるのは鹿児島での九州大会。帰り際に「次は鹿児島で!」って古川監督と木岡選手が言ってくれました。

きっと4日もみなさんらしく初回から全力で相手圧倒してくれるはず。
初戦は4−1でしたが、古川監督は「みんなちょっと固かった」と言ってました。知らない球場でプレーするのはアップのやり方とか、慣れないところもたくさんあって大変だとか。そういう苦労もあるんですね。1年目のチームですもんね。ずっと佐賀でプレーしてたという選手も少ないですし。

さらに準決勝、決勝のダブルヘッダーは多くの選手が経験がないことなので少し心配もあるそうです。幸いにも準決勝は第1試合なので、少し休む時間が取れます。まずは準決勝、一戦必勝で挑み、うまく調整して優勝をつかみとってほしいです!悔いなく力を出しきれますように!!みなさんなら大丈夫です!!

この日の空は一生忘れないと思う……。
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