松戸市役所の逆転優勝で幕を閉じた国体千葉県大会。
第1戦につづき、第2戦の様子を振り返ります。
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▽第1戦の試合ルポ
第1戦終了後、約30分で第2戦がプレーボール。終盤まさかの逆転負けに京葉銀行はいかに立て直せるか。勝った方が優勝の最終決戦です。
先攻は松戸市役所。京葉銀行の先発は栗原投手。今大会はここまで勝ちこそしているものの、あまり納得いく内容ではない様子が気になっていました。初回はあっさり三者凡退。素晴らしい立ちあがり。
松戸市役所の先発は前日のJAいちかわ戦、1安打完封の石本投手。石本投手と京葉銀行と言えば、2017年の国体予選で躍動した姿を記憶している方も多いのではないでしょうか。1年目の鮮烈デビューでした。
京葉銀行は1番の小野田選手が三塁強襲の当たりで出塁。気持ちが入っています。
2番・田村選手の犠打で1死二塁、3番・石原選手の右前打で1死一、三塁。石原選手は本当に勝負強い。やってくれそう感があります。
4番・中川選手はライトフライ。やや浅かったか、三塁走者はスタートを切れません。松戸市役所のライト・内潟選手の送球も素晴らしかった。
2死一、三塁となり、5番・村岡選手が中前に先制タイムリー!塁上でガッツポーズの村岡選手。京葉銀行のみなさん、初回から雰囲気で圧倒してきます。絶対に負けられない試合。
後続を断ち最少失点で切り抜けた松戸市役所。ですが、第2戦も追いかける展開。
守備でも攻める姿勢。3回、一二塁間の打球に追いつきアウトにした京葉銀行・蛭田選手。失礼を承知でいいますと、今まではどこかかわいらしい印象だったのですが、顔つきがかなり精悍になっていて驚きました。打撃も好調。守備も安定感があります。
3回裏、京葉銀行は1死から四球の走者が二盗失敗。それでも続く四球の走者も盗塁。積極的に足でゆさぶりをかけてきます。
石本投手は制球が乱れ始め、この回3つ目の四球で2死一、二塁。6番・蛭田選手の打球は遊ゴロ。松戸市役所のショート・菅原選手は二塁へ送球しようとするも二塁ベースにカバーが入っていないことに気が付き、慌てて制御しますがボールは手から離れてしまい転々と……その間に二塁走者が生還し、京葉銀行に追加点。
2死三塁とピンチは続き、松戸市役所の石本投手は降板。3回途中2失点。「自分では気づいていなかったけど、球がいってなかったみたいです」。手術後、本格的に投げ始めたのは4月。前日完封の疲れもあったと思います。2番手は奥川投手。これまで何度も大舞台を経験してきました。
2死一、三塁。奥川投手は1球でピンチを脱します。さすがです。
2点を追う松戸市役所は4回表、先頭の1番・折橋選手がヒット。ゴロアウトふたつで三塁まで進み2死三塁とし、4番・内潟選手の適時打で1点を返します。内潟選手はまだ2年目なのですが、打席で風格があります。
1点差に迫ったその裏、奥川投手は四球で出した走者を暴投で進めても動じずに無失点。非常に落ち着いています。
5回表、松戸市役所は先頭の6番・小道選手がヒット。犠打、そして8番・奥川投手が右前に運んで一、三塁。三塁走者、小道選手に代わり瀬山選手。松戸市役所は攻撃のタイムを取ります。
1死一、三塁。9番・酒井選手の打球は高く弾んだ捕ゴロ。三塁走者はスタート。京葉銀行・兵藤選手が少し前に出て捕球をし、振り返って飛び込みタッチに行きます。
瀬山選手がうまくかわして生還!同点に追いつきます。ほんとにわずかでした。このまえのコマを見てもわきの下わずかグラブが届いていなかったように見えました。
同点、なおも1死一、二塁。1番・折橋選手の打球で併殺を狙いますが、ショートの雪下選手、一塁への送球がそれます。その間に二塁走者が一気に生還。松戸市役所が勝ち越しに成功。
走者が気になったでしょうか。京葉銀行・長谷川監督も審判へ確認に行きますが「走者はきちんと走路を走っていて妨害はしていない」というような声が聞こえました。
勝ち越しを許しましたが、まだ5回です。
6回裏、京葉銀行は先頭の6番・蛭田選手がヒット。奥川投手に代わってから初めてヒットでの出塁します。
そしてすかさず盗塁成功。7番・兵藤選手がきっちり叩いて1死三塁と同点のチャンスを作ります。今度は京葉銀行が攻撃のタイム。緊迫した展開に撮っている私もすごく緊張していました。
8番・栗原選手の打球は投手前に。奥川投手が本塁へ送球、三塁走者の蛭田選手は回り込んでホームを狙うもタッチアウト。同点ならず。
第2戦は1点を争うしびれる展開に。
撮影する際は試合展開を見ながら場所を決めています。一塁側、三塁側とだいたい5回の整備を目安に移動をすることがほとんどなのですが、この試合は「絶対に1点勝負になる」と思い、ホームインの写真が重要になると考えて一塁側から動きませんでした。結果、先ほどの松戸市役所同点の場面も、このタッチアウトもクロスプレーの写真がはまりました。
6回を終わって3-2で松戸市役所がリード。
7回表、先頭は松戸市役所のルーキー・瀬山選手。「思い切り振って帰ってこい!」とベンチからの声に、強振した当たりはフェンスぎりぎりのレフトフライ。いい打球でした。松戸市役所の中ではひときわ体も大きく、これからが楽しみな選手です。
8回表2死、京葉銀行・雪下選手は先ほど惜しいミスもありましたが、このプレー。軟式野球の醍醐味は内野の守備だと私は思っています。
終盤は互いに無得点。1点差のまま9回裏、京葉銀行の攻撃。
1死後、代打に主将の高橋選手。今季主将に復帰。守備もうまくて、勝負強い。昨年見た試合では全員が打ちあぐねていた投手を代打の初球でヒットにしてしまうような、頼れる選手。そして絵になるんです。
しかし高橋選手もセカンドフライに倒れて2死。
松戸市役所・奥川投手は3回途中、マウンドにあがってから打たれたヒットは1本。京葉銀行打線を翻弄しました。最後の一球。
サードフライで試合終了。
ウイニングボールはルーキーの瀬山選手ががっちりと!
松戸市役所が敗者復活戦から勝ち上がり、京葉銀行に連勝で国体千葉県代表の座をつかみました。最終日は2戦ともに逆転勝ち。劇的な優勝です!
松戸市役所は昨年、天皇賜杯、水戸市長旗と県大会決勝で敗退。どちらもAKIRAに終盤ひっくり返されての逆転負けでした。目の前で優勝を見た回数が一番多かったチーム。相当悔しかったと思います。あと一歩だった優勝にようやく手が届きました。みなさんの顔を見れば、ここにたどり着くまでの苦しさ、つらさがわかります。本当におめでとう!
京葉銀行は今年も悔しいスタートとなってしまいました。絶対王者として長年千葉県を引っ張ってきたチームですから、結果を求められる中で戦うことの厳しさ、プレッシャーは計り知れません。必ずや頂点に返り咲いてくれるはずです。
松戸市役所・滝沢監督の話
勝因は選手全員を使えたこと。みんなが自分の役割を全うできた。準備も早かった。奥川をリリーフで待機させることができたのも(昨年まであまり登板機会がなかった)竹内や内藤が短いイニングでもしっかりと投げてくれたのが大きい。奥川を野手で使うか最後まで悩んだけど、出れば打つのも守るのも走るのも全力でやっていまう選手だから出場させるのはやはり負担が大きすぎると思いとどまった。結果それがよかった。
松戸市役所・奥川投手の話
(今年34歳、チームでは上から2番目に)これまではここ(最終日)に来るまでに4連投したり、完投してすぐ野手で出たりと大変だったけど、今年は若い選手が頑張ってくれて最終日を万全な状態で迎えることができた。ひとつひとつアウト取るだけだったから、緊張もなかった。
国体千葉県大会は6日間、本当に素晴らしい試合ばかりでした。みなさんがひたむきに取り組んでいるから、熱戦になるのです。
今年で撮影して7年目になりますが、社会人軟式野球という世界に出会えて本当に良かった。野球の楽しさも、選手たちのまっすぐな気持ちも、今までいろんな野球を撮影してきましたが、この世界が1番でした。知らないのがもったいない。
私のささやかな夢であり目標は、私の写真や文章に触れて社会人軟式野球という世界を知り「ここで野球をやりたい」と思って飛び込んできてくれる選手が出てきてくれることです。いつか叶うといいなと淡く思い描きながら、これからも撮り続けます。
最後までお読みいただきありがとうございました。