328 Game highlight / 国スポ千葉県大会代表決定トーナメント最終日第2戦習志野市役所 vs AKIRA 2025.6.5

勝った方が優勝の第2戦は、習志野市役所が12回サヨナラ勝ちで初優勝を決めた。第1戦もすごかったが、それを超える試合になった。 見出し画像がよすぎて……自分で撮ってていうのもあれだけど、第2戦のベストショットを採用した。作りながら改めていい瞬間すぎて涙が出てきた。 この日は朝、雨があがってからかなり暑くなった。第1戦で相当消耗した私が12回を撮り切った。選手に負けないくらいの体力と集中力……いや、たぶんゾーンに入ってたというか、アドレナリンがすごくて乗り切れたんだと思う。とにかく写真を、記事を見てほしい。 Highlight（176枚） 渾身の176枚。延長にもつれた最終決戦をぜひご覧ください！ あとがき 最後はノーサイン。殊勲のサヨナラ打！ 習志野市役所・太田選手 「打ったのは真っ直ぐ。あのスライダーは打てないので、真っ直ぐだけを待ってた」 12回裏1死二三塁、一塁は空いていたが次の1番鈴木選手は前の打席で二塁打を打っていたし、マウンド上でどういう話し合いがなされていたかはわからないが、AKIRAは9番太田選手勝負を選んだ。 習志野市役所の森野監督は「（太田選手に）サインはないです。出してもスライダーを空振りする姿しか浮かばなかったから」とのこと。 どれだけ吉田投手のスライダーはすごいんだ……。 確か2球目だったと思う。振り抜いた打球はレフトへ。ヒットならサヨナラになるので、私は打球は確認せずファインダー越しに太田選手を追っていた。今思えば、球追いという野球撮影の基本を忘れていたが、サヨナラの場面ではこういう撮り方をすることがある。追いかけていないと、喜びのピークを逃してしまう。 いい写真だな…… 太田選手が右手を突き上げたので、試合が決まったのだとわかった。 ベースを踏み、振り返って仲間たちが駆け寄ってくるところ。最高だよね。高校野球みたいじゃん。こんなふうに喜べるチームになったんだってことも、私はカメラを向けながら感動していた。 殊勲打の太田選手、大学時代は野球をやってなかったそう。ご家族が教えてくれたんだけど。役所に入って再び野球やり始めて、今年でもう10年目なのかな。9番でも出塁が多い印象でつなぎ役として素晴らしいし、外野も三塁も守るし、器用で貴重な選手だよね。試合を決めるとは驚いたけど、本当にナイスバッティングだった！ 昨年の悔しさを胸に12回投げ切る 習志野市役所・原投手 「気持ちを切らすことなく最後まで投げられました」 前日のAKIRA戦も3ランで先制を許したあと粘り、逆転してくれて最後まで投げ切った。その時も「気持ちを切らさずに」って言ってた原投手。 この日も先制され、逆転してくれて、追いつかれて。延長に入って得点圏に走者を背負い、すごく苦しかったと思うけど、ベンチにいる田村選手からの「集中切るなよ」って声にうなずく余裕もあった。 昨年も最終日は同じ対戦で、AKIRAがコールドで優勝を決めたけど、投げることなく終わった原投手は佐賀開催の国スポにかける思いが大きかった。 この投稿を振り返っておく。 ［国スポ千葉県大会/最終日］📷Photo of the day📷素敵なエピソードを書かずにはいられずもう1枚。習志野市役所の原投手。主戦としてフル回転も最終日は登板なし。「おばあちゃんが佐賀にいるんです」「必ず佐賀に行きます」おばあちゃんからもらったお守りをポケットに忍ばせて挑んだ大会でした。 pic.twitter.com/W5YCjEEri2&mdash; GALLERY 328 / Naoko.T (@sannippa328) June 2, 2024 無念の思いを12回完投で晴らした。試合後、グラウンドからスタンドにいる私に向かって「なおこさん！これ！」と、なんと昨年入れていたお守りをこの日も入れていたことを教えてくれたのだ。 よく見ると、左のポケットに入っているのが確認できる！ 第一声がまずそれってなんてかわいらしい人なんだと（笑）今年は滋賀開催だから、佐賀に行くことはできないんだけど、それでも昨年の無念を晴らせたのはお守りの力＝大切な人の存在が絶対にあったと思う。あの素敵なエピソードに続きがあるなんて、泣かせてくれるじゃないか……。 表彰式が始まる前、私がグラウンドに降りると原投手から「石川とふたりで撮ってください！」とお願いされた。その手にちゃんと握ってた、おばあちゃんのお守り！ 千葉が誇る最強にして最速コンビの2人については、国スポのまとめ記事で触れようと思う！ ちゃんとおばあちゃんに報告したのかなあ、なんてこれを書きながら思いを馳せている。 チームがここまで変わった理由 習志野市役所・竹中選手 「田村さんがずっとひとりでベンチワークを頑張ってくれてて、最近では若い選手たちも頑張ってて、自分もこのままじゃいけないなと」 表彰式が終わり、誰に話を聞こうかと考えた時、この国スポを通して感じた習志野市役所のベンチワークの変化をキャプテンに聞く必要があるなって思った。 ベンチワークについて、特別変えたことや意識したことがあったのか。「チーム全体でこうしていこう、みたいなのは特にない」と竹中選手は言う。ただ初めに書いたように、だんだん声を出す選手が増え、束になって戦う雰囲気になってきた。それがこの大会で結果に結びついた。 前の記事でも習志野市役所のチームの雰囲気について触れた。私は初戦の富里市役所戦を見た時に、あの元気で明るい富里ベンチに負けない声が聞こえてきたことにびっくりし、確信した。今年は習志野がやりそうだ、習志野の年になるって。 初戦の富里市役所戦、1回表に満塁も無得点に終わり、すかさず竹中主将が選手を集めて話してた 先制した時のベンチ、こんなに今まで笑顔多かったけ？？と私が変化を感じたとき 私が見始めた10年ほど前の習志野市役所と言えば、選手のポテンシャルは高いがシートノックも試合中もお通夜みたいに静かだった（笑）個々がそれぞれやっているといった感じで、聞こえてくるのは田村選手の声だけ。そんなチームだった。 「自分が入った時もそんな感じで、当時は僕も試合中に裏でタバコを吸う側の人間でした」 書いていいか迷ったけど、ここから今へのギャップを伝えたかったから書かせてもらった。それがひとりで頑張ってきた先輩と後輩たちの頑張りに「このままではいけない」と奮い立った。 2年前、竹中選手は田村選手から主将を引き継いだ。 どちらかというと背中で引っ張るタイプなのかなと思ったけど、試合前にベンチで選手を集めて話をしたり、マウンドに集まったときなど、よく観察していると竹中選手が言葉で引っ張ったり、まとめたりという姿が多くあった。 田村選手が主将だったころ「ゲームキャプテンは竹中だから」って常々言っていたのを思い出す。プレーを見ていたら竹中選手の能力の高さ、引き出しの多さはよくわかる。10番を背負うことになり、プレーの面だけでなく自分の言葉でチームをまとめ、導いてきた。 守備中もベンチでも、目立って大きな声というわけではないんだけど、的確で必要な声をしっかり届けてる。そしてなんかね、優しんだよね。安心感があるっていうか、竹中選手が「大丈夫」っていうと絶対に大丈夫な感じがする。選手それぞれの声があっていいなって思う。 今年の習志野市役所ベンチは過去一雰囲気がよく、ついカメラを向けてしまう 昔を知る他チームの選手たち、OBたちは「習志野市役所の弱点はベンチワークだったのに、そこがよくなったらもう勝ち目がない」と口を揃える。ここ2年、安定して4強に名を連ねているのは選手たちの技術的なことはもちろん、私は絶対にベンチワークがよくなったことが大きく影響していると思う。 8月にある関東ブロックも、みんなで雰囲気のいいベンチを作って相手を圧倒してほしい。 全員でつかんだ、涙の初優勝 太田選手、原選手、竹中選手をピックアップしたけど、全員で本当によく諦めずに戦い抜いたと思う。2戦目までもつれると連敗するケースをこれまで多く見てきたから、AKIRAが優勢だなと思ってた。実際に先制したのもAKIRAだったが、すぐに逆転し、追いつかれても全員でよく粘った。 特に守備ではセンターの中橋選手がやばかった。中橋選手は一時勝ち越しとなる適時打も打ったけど、なによりこの日は守備！！ 右に左に走りまくった。8回の竹谷選手の打球は抜けていたら勝ち越しだったので、大ファインプレーだった。ポジショニングもいいのか、あ！と思っても追いついていることが多々あって、すげえ……と何度も鳥肌が立った。 そしてチームの雰囲気を盛り上げる、同点に追いついた宍倉選手のヘッスラ。 プレーで気持ちを見せるタイプの選手だよね。内側でめちゃくちゃ燃えてるものが、ここぞで爆発する、みたいなのを宍倉選手からは感じる。こんな熱いプレーする選手だったっけ……と思うんだけど、今年の宍倉選手は激アツだなと思ってずっと見てる。シンプルにかっこいい。 あと忘れちゃいけない、田村選手の声。前の記事で、石川投手への声かけについて詳しく書いたけど、この試合は原投手へ、というよりはチーム全体への声かけが目立ってたなって思った。 「ウソでもいいから盛り上がろう」「緊張してるやつは声出しとけ」「あとから行こうはないぞ」「集中切ったほうが負けだぞ」「勝ってる雰囲気を作っちゃおうぜ」「下向いても何も落ちてないぞ」 田村選手語録で本出せるのでは？ってくらい、バリエーション豊かに今しかないって言葉をちゃんと選ぶよね。撮影しながらスコアを書きながらも、メモする手が止まらないんですよ私（笑） 延長に入って原投手にかけた「いいときの顔になってるから」って言葉もすごくいいなあって思った。「自分には声しかない」って田村選手はいつも言ってるけど、サヨナラにつながる最高のたたきも決めた。 田村選手に限らずで、いろんな選手からいろんな声が聞こえるようになった習志野市役所ベンチ。 印象的な声で言うと、第1戦で悔しいマウンドになった石川投手がベンチから「いい試合なんていらない！勝つんだよ！」って。この切実な思いを聞いて……はあ、思い出しても胸がいっぱいになるよね。 1戦目の終盤、明らかに疲労*から制球が定まらなくなって降板したのに、この2戦目で6回からキャッチボールを始めたのを私は見逃さなかった。 *のちに話を聞いたら1戦目は右の脇腹が疲れてきて腕が出てこず、制球が定まらなくなったそうだ。肩など他の体力面は問題なかったみたいだから、回復も早かったのかな。にしても、この時はそんなこと知らないのでびっくりしてわざわざブルペンが撮れる位置に移動したほどだった。 さっきの宍倉選手もそうだけど、プレーや姿勢から心意気が見えるというのは、スタンドで見ている私ですら感じるものがあるのだから、一緒にグラウンドに立っている仲間たちがどれだけ感じているかって想像に難くない。 本当にいいチームになってて、サヨナラの瞬間のみんなもいい表情だったけど、何より挨拶をして引き上げる選手たちが泣いていたのに驚いた。 私はこの日、長いレンズしか持ってなかったから挨拶が終わってベンチへ引き上げてくるところはカメラだと全員を収められないと思い、急きょiPhoneで動画を回した。嗚咽が聞こえるほど泣いていて、もらい泣き必須だった。 AKIRAが2021年に天皇賜杯千葉県大会で初優勝した時を思い出した。 あの時も挨拶を終えたあと多くの選手が泣いていて、それまで個々の能力頼りだったチームがひとつになったのを間近に感じ、悲願を達成して私ももらい泣きした。チームが強くなっていく過程に、ベンチワークをはじめチームがひとつになるということが欠かせないんだって改めて感じている。 でもここがゴールじゃない。2019年、初めての全国（天皇賜杯）はシーソーゲームの末、初戦で敗れた。その時の主将は森野監督だった。今のチームならもっと上を目指せると思う。目標は高く。関東を突破して、全国で躍動してほしい。 AKIRA、2年連続の代表ならず 第1戦に勝利し、勢いそのままに先制した。しかし逆転を許し、追いついたけど力尽きた。最後はここまで投手陣を支えてきた吉田投手が打たれてしまったのだから、もう仕方ない。 前日の京葉銀行戦で9回完投。この日の第1戦では9回1イニングを投げ、この試合は6回からマウンドに上がった。7回から4イニング連続三者凡退は素晴らしかったし、連投でもこのパフォーマンスはさすがだなと思って見てた。 11回の無死二塁を凌いだのはすごかった この試合展開では誰も責められない。 最後の打球、私は太田選手を追いかけていたので見ていなかったが、この時私の隣にはAKIRAのOBがふたりいたので、彼らにどんな打球だったのかを確認した。 レフトの安田選手が飛びついて、グラブに触ったけど取れなかったそうだ。もし取れていたらタッチアップはどうだったか……という感じだったらしい。 安田選手で取れないのなら……と私は思った。でも絶対に取りたかったはずだ。なぜならこの日、終盤のチャンスで2度凡退していたから。 7回、9回と得点圏で回ってきたが…… 私は安田選手のプレーが好きだ。特に走る姿が美しく、AKIRAに加入したのは3年前？かな？初見で長打を打って走る姿に惚れた。足をいかした守備も素晴らしい。そしてレフトからいい声が聞こえてくる。話すととても穏やかな人柄も素敵だ。 そんな安田選手がこの大会中、なかなからしい当たりを出せず、苦しんでいた。 1番打者として出塁したのは相手エラーの1打席のみで、あとは全部フライアウトだった。外野の間を抜く長打が私は安田選手の一番好きな打撃だけど、この試合は足があるのにフライばかりでもったいないと思ってしまった。 最後の打球、球追いしておけばよかったと少しの後悔がある。安田選手の懸命なプレーを、その時の悔しさを、残しておきたかった。 私もまだまだだな、と。こういう後悔がないように状況判断の精度を上げて、熱い心と冷静な頭で撮影に向き合いたい。 劇的に幕を閉じた国スポ千葉県大会 この記事はもうかなり長くなってしまったので、表彰式の写真も含めまとめ記事を無料公開で書こうと思ってる。 ご購読いただき、こんなに長い記事を最後まで読んでくださってありがとうございました。私の思いの丈は全て出しました。 もしよかったらご感想をお聞かせいただけたらうれしいです！ 書くモチベーションになるし、思いを共有したいって気持ちがあり、私からの一方的な発信で終わらせたくなくて。SNSのDMでもいいし、恥ずかしいから匿名で……という方はGoogleフォームやマシュマロをご活用ください！ひとことでもいいから気軽に送ってもらえたらすごく嬉しいです！待ってます！！！

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