エッセイ｜ GALLERY 328

ぜひ決勝のフォトギャラリーを見てから、この記事を読んでほしい。 気づけばもう３月、国スポが終わって５ヶ月が経っている。 いろいろあって、更新までに時間がかかってしまった。 みんな新しいシーズンに向けて走り出しているから、今さら書くことではないだろうけど……決勝が終わった日に残したメモを見返したら大切な気づきがたくさん書いてあったので、そこから抜粋し加筆修正をした。 すぐに記事を書けないときは、メモアプリにひたすら試合の感想や気づいたことを書き殴っているのだけど、改めて読み返したら感情ぶつけまくっててすごかった（笑） ここから先は既出の写真だけだし、私のひとり語りを世にさらしておくのもあれなので（無料部分を少し設けるけど）有料にする。 現地にいた私が、どう感じてたのか。 めちゃくちゃ長く、私の思いを吐き出した記事になった。いま私が社会人軟式を見ていて感じること、これからやりたいこと、いろんなこと全部書いたかもしれない。 文体が「です・ます調」でないことも、３２８の記事としては初めて。話し言葉で書いた方が気持ちをストレートに書けるし、読む方も気が楽かなと思ったら自然とこうなった。 有料部分はワンコインのカフェ代価格にしている。初めての方は登録がちょっと面倒かもだけど、今年は有料記事が多くなるのでこれを機にご登録いただけるとうれしい（codocというサービスを使ってる）。 私のことを理解してくれてるごく一部の人にしか話さないようなことを、がっつり書いた感じでちょっとドキドキしている。 試合経過を振り返るだけでも鳥肌もの 竹田投手が９回１死までノーノーで、そこから連打を浴びてピンチを作ったけど二ゴロ、遊ゴロで試合終了。優勝してしまった。 「優勝してしまった」なんて失礼な言い方かもしれないが、大会前にリテックが優勝するとは想像してなかったから許してほしい。 簡単に試合を振り返ってみる。 初回、バックネット裏で両投手を撮影していた。竹田投手も佐川印刷の原井投手も素晴らしく！特に竹田投手は完璧だった。 試合前、球場外でばったり会ったので「頑張ってね」とひとことだけ伝えた。竹田投手はとても集中したいい目をしていたので、大丈夫だなって思った。 原井投手もすごくて、凄みはないけどすごいみたいな。リテックの初ヒットは５回の佐藤選手。点にはつながらなかったけど、みんなに勇気を与えたヒットだった。 全員で我慢をして迎えた８回。 先頭の９番青山選手がヒット、１番木村選手が四球で繋いで無死一、二塁。３番辻元選手の時に、二走の青山選手が飛び出してしまってアウトに。１死一塁と変わり辻元選手は右越えの二塁打。１死二、三塁とチャンスが広がった。ここは本当によくカバーしてつなぎ、最高の形になった。 そして３番本田選手が美しく完璧なたたきを決め、待望の先制点。 この日の竹田投手の出来なら、１点で十分だった。超スモールベースボール。バットが代わり、パワーピッチャーが増えても、軟式野球の醍醐味は失われていない。 でもそんなに簡単に日本一にはさせてくれない。 １死から連打で一、二塁。竹田投手が「やばい」と思ってたのは、ファインダー越しにも伝わった。 でも、気持ちを立て直し、ひとつずつアウトが取れた。 二ゴロ、遊ゴロも決して簡単な打球ではなかった。守備も相当鍛えてきたんだろうなというのがわかるプレーだった。 二ゴロをさばく佐藤選手。さすが主将。 失敗は、長い目で見たらひとつの経験にすぎない このチームを初めて見たのは６月の天皇賜杯福島県大会決勝。 私のよく知る人がリテックの外部コーチをしていて、チームに尽力していることを聞いていた。ずっと「見にきてほしい」と言われていて、３年目でやっと叶った。 タンガロイとの試合は点の取り合いになり、投手陣が踏ん張れずに負けた。この敗戦から「点を与えない取り組み」をしてきたことが、国スポの５試合で１失点という成果に現れた。 こだわって取り組み、積み重ねてきたものが全て発揮された決勝戦だったように思う。 練習でどれだけできていても、試合でうまくいく、いかないは相手のあることだから絶対はない。 だけど、備えて準備してきたことは体にも脳にも染み付いてる。練習でできていないことは試合でできるわけない。練習を積み重ねていく大事さは、みんなわかっていること。わかっていることをいかにやれるか。頭を使って意識してやれるか。 よく話をする、あるチームの選手が言ってた。何時間もただ打つだけの練習なら、１０分でも頭を使って打ったほうが身になる、と。本当にその通りだと思う。私はトレーニングに精通していないけれど、筋トレも鍛えている部位をしっかり意識して動かすのが効果的だって聞いたことがある。 カメラもそう。ただバシャバシャとカメラの性能を頼りに連写して偶然おさまった奇跡の１枚より、自分で頭を使って集中し狙って撮れた１枚の方が何万倍も価値がある、と私は思う。 結果も大事だけど、プロセスはそれ以上に大事なんじゃないかな。長い目で見たらね。目標をどこに置いているかで全然違う。 コツコツと地味な練習に向き合い、これ意味があるのか？と不安になることもあったはず。ボールもバットも変わり、もっと打つことやパワーをつけることに時間を割いた方がいいんじゃないかとか。 他のチームがやっていることに惑わされ揺らいだとしても、きっと信じてやってきたのだと思う。だから「よく頑張ってきたね。さあ見せてごらん」って野球の神様が最高の舞台を用意してくれた。そのチャンスを掴むことができたのは、みんなが自分たちを信じきれたからに違いない。 結果を出すために必要なこと いろんなチームがあって、いろんなチームカラーがある。 みんなが同じようにする必要はなく、リテックのみんなは「自分たちはこれでやっていくんだ」という道を決め、それ以外は削ぎ落として突き進んだ。その先に優勝があった。 たぶん、私が外から見ている限り、トップクラス（全国の上位に来るレベル）のチームは、みんな体もしっかりしているし、パワーもあるし、打つ技術、投げる技術に大差ないと思う。技術的なこと詳しくは語れないけど。 勝った負けたは結果に過ぎないし、自分たちがどんなに完璧にやれても負けることはある。じゃあどこで差が出るのかって、どれだけ頭を使ってやってきたかってことかなと最近は強く感じる。 頭を使うというのは「自分で考えて決める」ということ。 選手それぞれが「自分は何が得意で、何が苦手なのか」をきちんと把握した上で自分で考えて必要なものを取り入れ、合わないことはやめていく。全員が、同じような選手になる必要なく、チームスポーツだからこそ個性を伸ばす必要があるんじゃないかな。 もちろん最低限、軟式野球に必要な技術はあるだろうから、そこは徹底的に取り組むとして、それぞれの特性でできないものにいつまでもしがみつくくらいなら、それを補って余りある得意なことで対応すればいい。 そしてチームスポーツは、どれだけ個々の力が高くても行き詰まる時がある。 個々の技術を高めることと同じか、それ以上に大事なのは「チーム全員が同じ方向を向いて走れているか」これに尽きる。チームで徹底する力というか、簡単に言えば結束力。技術に差がなかったら、最後はそこの差だと思う。 「最後は気持ちの強い方が勝つ」なんてよく言うけど、気持ちというのは気合いとか執念とか、そういうことだけじゃない。 今までやってきた自信とか、このチームで日本一になりたいとか、みんなと喜びたいとか、このチームが好きだとかも「気持ち」だと思うんだよね。かける思いがある。チームみんなが共通してもっている信念みたいなのが重要な気がしてる。 ありたい姿を宣言する 選手やチームがよりよくなるために「こうなりたい」を宣言するものいいと思う。 宣言するとそうなれるようなもの（情報とか人とか）が自然と自分に集まってくる。見えるようになってくる。共感した人たちが力になってくれる。小さなことでも宣言する。高らかに宣言するのは恥ずかしいという人は信頼できる相手にだけでもね、打ち明けたらいい。そうしたら必ず繋がるし、繋いでくれる。 私の話で恐縮だが、宣言したことでいろんなことが集まってきて、みんなが応援してくれて夢が叶ったという経験がある。 中学生のときプロ野球選手に一目惚れし、そこから野球を覚えた（笑）知れば知るほど楽しくなって、好きになって、将来は「野球に携わる仕事がしたい」と決めた。 当時は読んでいた月刊ジャイアンツの記者に憧れた。高校生の時に前述の一目惚れした選手が怪我を理由で引退することとなり、自分も部活をやっていて怪我ばかりだったことからスポーツトレーナーを目指して体育系の大学に進学した。 いろいろと「野球に携わる仕事」の可能性がありそうな道を探り、大学生で写真を撮ることに出会った。 写真を撮ることは仕事として全く考えてなくて「写真でもっと自分の思うような野球の世界を表現したい」と大学卒業後１年間フリーターをして１００万貯めて、自費で写真の専門学校に行った。野球ばっかり撮っていた。 本当は大学卒業後に理学療法士の専門学校へ進学するつもりだったから当初から就職は考えてなかったけど、在学中にトレーナーになる道は挫折し諦めていた。 仕事にするつもりはなく、ただ写真が上手くなりたいってだけで専門学校へ行くことに対して、両親は何も言わなかった。「自分（のお金）で行くなら」と、私の好きなことややりたいことは応援してくれてた。 「野球が好きすぎる生徒」ってことで学校の人に覚えてもらえた。卒業して２年後、ニートだった時に突然学校から連絡が来て、今の仕事（取引先）に通ずるバイトを紹介された。 そのバイト先は高校野球の雑誌を作っている新聞社で「カメラマンやってみる？」と聞かれ「やります」と即答し、野球に携わる仕事につくという夢が思わぬ形で叶った。これも宣言し続けたからだと思ってる。 カメラマンを志したことは一度もなかったから、今でもカメラマンやってることを不思議に思う時がある。ちなみに、いまでもその仕事は継続している。本当に人に恵まれて周りの人たちに感謝しかない。 自分たちを認め、しっかり褒める リテックの選手たちは６月に県で負けてから自分たちをもう一度見つめ直し、できていないところを素直に認め、できうる準備をしてきたんだろう。竹田投手が言ってた。「大会期間中は食べ過ぎないように気をつけてたから、おいしいものでも食べます！」って。そういうところもすごく大事。 自制しなくてもやれちゃう器用な選手もいるけど、これも「自分をちゃんとわかっているかどうか」ってこと。 練習量や環境がいくら備わっていても結局は「個々がどれだけ自分自身を把握して、意識を持って取り組めるか」なんだよね。 私がいつも見てる千葉でもさ、全国で勝てるかどうかは別として、そもそも千葉を勝ち抜くのが大変で、グラウンドのない役所チームが勝てるっていうのも、そういうこと。 彼らは「練習時間やグラウンドがないことを言い訳にしたくない」って常々言ってる。限られた環境の中で頭を使って、自分たちのできることを精一杯やってる。 リテックは国スポで全国の頂点に立ち、「次は天皇賜杯で優勝を！」とまわりはすぐに口にしていた。でも、まずはこの国スポで初めて日本一になれたことを誇りに思って「よくやった」と自分たちを褒めて、認めてあげてほしい。 なんでも成果が出ると「そこで満足しちゃいけない」みたいな風潮が日本にはあるけど、私はそれでいいのかなって思ってる。喜んでいいじゃん。必死に頑張ってきたんだから。 そこで満足して終わるような選手はそれまでの選手だし、喜びの中にも「あのプレーはもっとああいうふうにできたな」とか、自分を高められる選手はよりよくしたいって気持ちが満足感の中からでも湧いてくると思う。 「日本一になるって最高！また日本一になって喜びたい！」って思えたら「次は天皇賜杯だ！」って自然と目標は定まっていく。 だからどうか周りの方たちも思いっきり褒めて、一緒に喜んで欲しい（喜べたかなあ）。 私はこうしてご縁ができたみんなが、負けずに笑顔で終われたことが本当にうれしかった。 リテックの選手はほぼ全員、国スポではじめましての状態だったのに、私の発信を見てくださっている選手も多いと聞いた（福島行ってないのに本当にありがたい……泣）初対面だよね？という感じで、全然みんな警戒心なく、ニコニコ話してくれて本当にありがとう。 それもこれも知り合いの外部コーチのおかげ。優勝した裏で彼にもドラマがあり、この次の記事で書きたいと思う。 ご縁のあるチームが全部優勝した2024年シーズン 全国大会は高松宮賜杯（２部）、天皇賜杯、国スポと３つ取材させていただいて、決勝はなんと個人的にご縁のあるチームが全て優勝した。 高松宮賜杯２部で優勝した、佐賀の井手解体実業はチームの初陣から１年間追いかけ続けたチーム 天皇賜杯で優勝したゴリラクリニック。前回大会でエースの箭内投手に目を奪われ、リベンジを期待してた 悔しく終わった決勝が一度もなく、全部私も笑顔で終われた。すごくない？本当にみんなありがとう！ そういえば、社会人軟式を撮り始めてしばらくは自分と縁のあるチーム、応援しているチームが最後勝ちきれないってことが多かった。もしかしたら、だけど、私も成長したのかもしれない。色々と無理がなくなったのかなって思う。肩の力が抜けて、自然体で活動できてきたから共鳴してるのかななんて２０２４年はすごくそう感じた。 一応書いておくと、縁があるチーム以外を「負けろ」とか一切思わない。ミスしろとか思ったことない。 縁があろうがなかろうが、試合はみんながやってきたことを出しきって悔いなくやりきってほしいという思いだけでカメラを構えてる。 推しチームに対して「いつもできてるのに」ってもどかしく思ったりすることはあっても、相手に対して思うことはない。いいプレーにも素直に「すごい！」って感動してたりする。 だから私が書いてないからってどうこう、とかは思わないでほしい。長く見てくださっている方は私の価値観をわかってると思うけど、全国大会絡みの記事だと初めて見たって人も多いから。 ただ届けるだけの一方通行じゃなく、共有して、力になりたい ここからはちょっとこれからの話。 結果的に勝敗はついてしまうけど、私は過程を大切に見たいから、試合の流れを意識した撮影や記事の構成になる＝時間がかかるのは仕方ない。もう諦めた。なるべく早く仕上げたいけど。 試合だけでなくて前の大会はどうだったとか、昨年は……とか、見る試合の数が増えるとストーリーに深みが増していく。そこがめちゃくちゃ楽しいし、あの時はああだったよね、って選手たちと振り返ったり話できるのも最高に楽しい。 グラウンドからは見えてない、私にしか見えない景色を共有していくことが、私のやりたいことだし、できることだし、必要とされていることなのかなって思い始めた。 今まで正直「みんな私や、私の発信をどう思っているんだろう」って聞きたくても、批判的な意見にビビり散らかし、怖くて聞けなかった。一方通行の発信しかできてなかった。 ただ届けたいんじゃなくて、みんなとキャッチボールがしたいんだって気づいた。やっと自分の本心がわかった。私の視点を通して、選手たちといろんなことを共有したいし、みんなの背中を押したい。力になりたい。 それが２０２５年の３２８のありたい姿。 ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。 ほとんどが決勝後に書いたメモが元なんだけど、めちゃくちゃ長くて驚いてる（笑）６０００字超えの大作になってしまった。 よかったら感想聞かせてほしい。怖いけど、聞きたい。（→感想はこちらへ。匿名で書けます） ご購入いただいたお代は、作業時のカフェラテ代にします。いつもマックだけど、たまにはコメダで１．５倍のやつ飲みます。スタバも行っちゃおうかな。 この記事に共感いただいたり、何か気づきを得て「カフェ代じゃ足りないよ！ご飯おごらせて！」なんて素敵な方がいたら、下記サポート欄から待ってます〜

エッセイ

挫折から始まったコーチ人生　「３年で日本一」貫いたスモールベースボール

国スポ決勝のメモを見返して気づいた、大切なこと

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