国スポ埼玉県大会 準決勝 旭製作所 vs 大陽ステンレススプリング 2024.5.11

国スポ埼玉県大会 準決勝 旭製作所 vs 大陽ステンレススプリング 2024.5.11

準決勝第1試合もすごかったんですが、さらに上を行く大熱戦となった第2試合。

点数の入らなかった回にもストーリーがあり、私はそこを大切にして今回写真を作りました。なので夢中で写真を作っていたら100枚超えてました(笑)

球場で見ているような臨場感を味わえる作品を目指しています。
お時間ある方は1枚目から追って見ていただけると試合の緊張感、緊迫感、両チームの選手たちの感情など体感いただけるのではないかなと思いますので、ぜひ!

準決勝 第2試合 旭製作所 3−2 大陽ステンレススプリング(延長11回)

あとがき

旭製作所の粘り、劇的な幕切れ。
撮っていた私が写真を改めて振り返っても、その時のゾクゾクした感じが蘇ってくるほどです。

手に汗握る投手戦

とはよく言いますが、まさにこの言葉通りの展開。
旭製作所の須佐見投手、大陽ステンレススプリング(以下、大陽ステンレス)の筒井投手の投げ合いはとても見応えがあり「絶対に譲らない」って感じがバシバシ伝わってきてずっと興奮してました。

旭製作所・須佐見投手は5回まで無安打投球。6回は自身のボークでピンチを広げてしまい、先制を許しました。そこからの粘りがすごかったんです。マウンドではあまり表情崩すことないんですけど、だからこそ気になってカメラ向けてしまうんですよね。

後半はかなり投げながら声が出てましたし、きつかったかもしれないですけど、撮っていて私も熱くなりました。9回の祈るような目線や、11回の一、三塁を抑えてホッとした姿。全部見せたくて写真も必然と増えてしまいました。

サヨナラ弾を浴びた大陽ステンレスの筒井投手。須佐見投手とは対照的に表情豊かというか、ピンチの場面で捕手の田中選手と話してるときも笑顔があったり、土壇場で追いつかれても動揺は見えず、穏やかで落ち着いている印象でした。

最後の瞬間はしばらく打球方向を見つめ、生還する東小橋川選手を静かに見守っていました。
しゃがみ込んで動けないなどなく、冷静だなって思ったんです。

ただベンチ前に戻ってくるところあたりで表情が崩れて、ダウンのキャッチボールをしているときは号泣してました。カメラ席の目の前だったので、ダメですね、選手の涙は……。そりゃ泣くよねって。悔いの残る1球だったかもしれないし、お話聞いてないんで私の想像でしかないけど、あれだけ泣いてる姿見たらちょっともう私はダメでした(なんか上手く書けなくてすみません)。

整列のとき、須佐見投手と筒井投手が言葉を交わしているように見えました。おふたりとも本当に素晴らしかったです!

サヨナラの瞬間をおさめたくて

試合を決めた、旭製作所の4番・東小橋川選手。2点を追う7回には反撃の一発を放っていて、この試合2本目のホームランがサヨナラ弾。すごすぎませんか。

サヨナラ弾の瞬間。ベンチも、そして待機する旭鋼管の選手たちのリアクションもいいですよね

ちょっと私の話、というか撮影に関する話をします。この試合をどんなふうに見て考えて撮っていたか。
興味ない方はスルーしてくださいね。

第1試合をずっと一塁側で撮影していたので、第2試合は三塁側から撮り始めました。
野球はグラウンド内を反時計回りで動くので、セオリー的には一塁側で撮影するのがハマりやすいです(打ったら一塁に向かって走るし、ホームインも一塁側に向かって走ってくる)。

だけど、そうするとどの試合も同じような写真になってしまうので、意図を持って三塁側からも撮るようにしてるのです。

私は推しのチームとかあっても(例えば全国大会で千葉のチームを撮るときなど)、そのチームのベンチがある方にとかは気にしてなくて、より良い1枚を作るために両チームの特徴や試合展開を見ながら撮る場所を決めています。
仕事(高校野球の撮影)でずっとそうしてきてるから、そのやり方が染み付いているというのもあります。

サヨナラホームランだったから三塁側にいたことでみんなが笑顔で待っている様子が撮れてよかったです

一塁側に移動するタイミングを伺っていましたが、この日は5回の整備がなかったのです。なので動くと試合から目を切ることになる(一旦球場の外に出ないと反対側に行けなかった)。
0−0で来てたので、その目を切った瞬間に試合を決めるプレーが出るかもしれないし、動くのはリスクが高いなと思い、三塁側からの絵作りに集中することにしました。

旭製作所は裏の攻撃だったので、このまま競った展開が続けばサヨナラもあるかもしれない。一塁側ベンチだし、三塁側にいればもしサヨナラになったときみなさんが飛び出してきたり、喜ぶ瞬間を正面で捉えられるなってのも動かない理由としてはありました。

9回の同点劇、11回のサヨナラホームランとベンチの表情を捉えることができたので動かなくてよかったという結果になりました。

この試合で一番「三塁側にいてハマった!」と思ったのが、上の写真。

旭製作所が1点を追う、9回裏2死一、三塁。三ゴロで同点になった二塁セーフの場面(記録は野戦)。
懸命なヘッスラをした旭製作所の清水選手、難しい体制から完璧な送球をした太陽ステンレスのサード松田選手(手前)とベースカバーに入った岡田選手。全てが上手く収まってくれました。

大陽ステンレスが勝った場合のことももちろん想定してます。
旭製作所を撃破したら、試合終了の瞬間は一塁側の方が顔が見えるけど、整列終わってスタンドに挨拶したあと必ず喜びを爆発させてくれると思ってたので、それを狙おうと考えてました。
筒井投手が投げ切れば絶対こちら(三塁側のベンチ)に向かってガッツポーズなりしてくれると思ったし、延長で勝ち越したとしてホームインは背中になってしまっても、ベンチに戻る時にいい顔が見れるので……。

先制した場面の、太陽ステンレスのみなさんいい顔!

私も選手たちと同じくらい、試合に入り込んでます。声もちゃんと聞いています。

ただ起こっていることを撮っているのではありません。
起こってからカメラを向けても遅いから、あらゆる場面を想定し、起こりそうなところにカメラを向けます。「野球の基本は球追い」と先輩に教わりました。「ボールのあるところで何かが起こるから必ずカメラを振れ」と。

さらに試合展開を予測して撮る場所を決めたり、選手はどんな表情(気持ち)でいるのかな、など想像して狙いを定めています。

スコアをつけながら撮影しているのは、試合展開(ストーリー)をちゃんと忘れないようにってことと、次に起こりうる場面を想像するために、です。

「今走者はここにいるから、こういう作戦があるかな」
「この選手、前の打席チャンスで凡退してるな。ここで打ったら喜ぶよね」
など、可能性のありそうなことをひたすら頭の中で思い浮かべて撮る準備をしています。

この写真は使いたいってものは、スコアに番号をメモしたり、選手の声とか自分の思ったこととかスコアに書いてるのですごいことになってますが。

準決勝第1試合のスコアですが、こんな感じで色々書いてます。打球方向など見てなくて適当な時も。笑

私の作品(記事)はこんな感じの撮影から生まれています、ということがこの試合でより明確に伝わりそうだったのでお話ししました。

写真を振り返って気づく「この選手すごかった」

撮影中に意識的にカメラを向けている選手(この試合なら両投手)もいれば、写真を振り返ったときに印象的な写真が多い選手というパターンもあります。試合が劇的すぎて記憶しきれなかったというのもあるんですが……。

旭製作所のショート・樋口選手はまさに後者でした。

三塁側にいたので、ショートの守備は撮りやすいんですよね。樋口選手は守備範囲が広くて、カメラで追うのが楽しかったんだと思います(追っているときはそこまで意識してなかった)。

三遊間の打球に何度も追いついて、普通ならレフト前でおかしくないような打球も追いついてしまうから一見ミスしたように見えてしまうけど、いやいやそこ追いつくの?って。写真を見るとその位置?って改めて思いました。

ファールフライ捕った1枚は、カメラ席の網で捕球の瞬間は重なってしまったけど、あれはスーパープレーでした!(冒頭の写真)

打つ方でも5番を担い、2回にチーム初ヒットとなる二塁打。9回同点の場面は1死から樋口選手のヒットが起点となりました。続く清水選手のライト前で一気に三塁を陥れたり、走攻守どれも素晴らしかったです!

試合前の素敵な出会い

今日ちょっとあとがき長いですよー。

私の個人アカウントでこんな投稿をしました。

この日、私は国スポ埼玉県大会に行くことを誰にも告げてませんでした。もちろんXにも投稿はしてなくて。

昨年の香川での天皇賜杯。
レクザムスタジアムで旭製作所の試合を見たとき、記者席で埼玉県の連盟の方とお話する機会があったんです。もしこの日いらしたら改めてご挨拶したいな、と思って役員の方に聞いて無事ご挨拶することができました。

その方に理事長さんと副理事長さんもご紹介いただきました。撮影の許可も得て、客席に上がったんです。市営大宮にカメラ席あったか覚えてなかったのもあり客席から撮ろうと思って。

ぼーっとグラウンドを眺めていたら、旭製作所の伊藤選手が客席に上がってきて「あ!」って。いきなり唯一お話しできる選手に会ってしまうという(笑)

いろいろ埼玉のこと聞いたり、試合始まるまで話していたら、スタンドに上がってきた大陽ステンレスの選手が伊藤選手のところに挨拶に来て、その場に座って仲良さそうにふたりは話してたんですね。

私はその様子を眺めていたんですけど、伊藤選手が「いつもSNSで……」って私のことをその選手に紹介してくれたんです。すると「え!なおこさん?!いつも見てます!」って言ってくれたんです!めちゃくちゃ嬉しかったと同時にびっくりしました。知られてた!って(笑)

大陽ステンレスの岡田選手、伊藤選手よりも年上のベテラン選手だそうで。試合は出られるのかなと思ってたら9番セカンドでスタメン。打席ではいやらしいくらいに粘るし、ベンチではチームの誰よりめちゃくちゃ声出して躍動してました。

ベンチの端っこで大きな声響かせてたのをなんとかおさめたくて、カメラ席の網越しだけど頑張った1枚

岡田選手、本当にありがとう。プレーもお人柄もとても素敵な選手でした。
ひとつ印象に残った言葉があって、カメラ席に案内してくれているときに「本当にいるんだー」って私のことを(笑)架空の人物と思われたのかな?ちゃんと実在してること証明できてよかったです(笑)

旭製作所の伊藤選手はケガの影響で控えでした。
プレー見るのを楽しみにしてたのですが「ここまで調子もいい感じできてたのに……」ってとても悔しそうにしてて辛かったです。

それでもベンチで積極的に声を出したり、痛みのあるなかコーチャーに出たり、円陣で士気を高めたり、さすがベテランです。バット振る姿も見えて、試合出たくて仕方ないんだろうなーって。

チームが勝ってくれたのが何よりだと思います。焦らず治してほしいです。


準決勝が2試合とも熱すぎて、すでに私もかなり体力、感情、集中力を消耗してたのですが、選手全然分からなくてもすごく楽しくて。埼玉の選手のみなさん本当にありがとう!って気持ちで、決勝も疲れより楽しみな気持ちが勝ってました。アドレナリンですね、完全に(笑)

今回はあとがきが長くなってしまいました。ここまで読んでくださりありがとうございます。

決勝の記事も楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。

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